『帯をギュッとね』や『モンキーターン』の河合克敏さんの新作。
話の作り方がうまいなぁ。なんで、習字の話がこんなに面白くなるのだろう。
漫画家や作家のような「話を作る」人たちは、多分、初めは自分の体験で話を作る。でも、息の長い作家さんたちは、他人の体験や自分の知らなかった情報を取り込んで、まるで自分の体験のようにまた別の話を作ることができる。
圧倒的な情報量の違い。
一発屋で終わるかどうかの違いは、この辺じゃないのかな?と思ったりする。
で、中身。
影山先生の「一」の説明のところで、遠い昔のことを思い出した。
中学のとき、美術の時間、ミロのビーナスの写真を見て鉛筆だけで写すという授業があった。結構うまく描いたと思ったのだけど、先生が来て、「上手にできたね。でも、ここをこうすれば」とササッとほんの少し手直しした。すると、立体感が出て、まるで違う絵になった。
「うおぉ〜、すげぇー!」
と叫びはしなかったが、あのときの感動は今でも忘れない。こういうふうにピンポイントで「何が足りないか」を説明できる人は、本当によく分かっている人であると同時に、教え方が上手な人なんだと思う。どんな分野でも。
次に、部長さんの「十」の説明。
「白いスペースも字の一部なのよ」。
これは河合さんの絵にも通じるのではないのかな。彼の絵は背景が真っ白のコマが多いのだ。トーンも効果線もない。でも、違和感ない。むしろ、いさぎよい。彼のマンガから「すがすがしい」という印象を受けるのは、こういう理由だと思う。
とにかく、また、面白いマンガが出てきた。うれしい限り!
内容的には青年誌じゃなくても良かったと思うのだけど、読者層かな。それとも、『モンキーターン』みたいに、社会人以降も視野に入れているのかな?
久しぶりに河合さんの柔道の絵を見られたのもうれしかった。125ページには、なんかの集団がいるし。読み返そうかな、『帯ぎゅ』。(^^ゞ