「『とめはねっ!』(一)」

『帯をギュッとね』や『モンキーターン』の河合克敏さんの新作。

話の作り方がうまいなぁ。なんで、習字の話がこんなに面白くなるのだろう。

漫画家や作家のような「話を作る」人たちは、多分、初めは自分の体験で話を作る。でも、息の長い作家さんたちは、他人の体験や自分の知らなかった情報を取り込んで、まるで自分の体験のようにまた別の話を作ることができる。

圧倒的な情報量の違い。

一発屋で終わるかどうかの違いは、この辺じゃないのかな?と思ったりする。

で、中身。

影山先生の「一」の説明のところで、遠い昔のことを思い出した。

中学のとき、美術の時間、ミロのビーナスの写真を見て鉛筆だけで写すという授業があった。結構うまく描いたと思ったのだけど、先生が来て、「上手にできたね。でも、ここをこうすれば」とササッとほんの少し手直しした。すると、立体感が出て、まるで違う絵になった。

「うおぉ〜、すげぇー!」

と叫びはしなかったが、あのときの感動は今でも忘れない。こういうふうにピンポイントで「何が足りないか」を説明できる人は、本当によく分かっている人であると同時に、教え方が上手な人なんだと思う。どんな分野でも。

次に、部長さんの「十」の説明。

「白いスペースも字の一部なのよ」。

これは河合さんの絵にも通じるのではないのかな。彼の絵は背景が真っ白のコマが多いのだ。トーンも効果線もない。でも、違和感ない。むしろ、いさぎよい。彼のマンガから「すがすがしい」という印象を受けるのは、こういう理由だと思う。

とにかく、また、面白いマンガが出てきた。うれしい限り!

内容的には青年誌じゃなくても良かったと思うのだけど、読者層かな。それとも、『モンキーターン』みたいに、社会人以降も視野に入れているのかな?

久しぶりに河合さんの柔道の絵を見られたのもうれしかった。125ページには、なんかの集団がいるし。読み返そうかな、『帯ぎゅ』。(^^ゞ

【2007/05/29 02:07 】
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